「また眼鏡どこ置いたっけ?」
この言葉を何百回、いや何千回口にしてきたでしょうか。私は生まれつき強度の近視で、裸眼視力は0.04という、眼鏡なしでは日常生活がままならないレベルです。それなのに、私は人生で何度も眼鏡を紛失し、探し回り、時には踏んで壊してしまうという失敗を繰り返してきました。
そんな私の「うっかり人生」を変えてくれたのが、たった110円の100均メガネストラップでした。今回は、このささやかな道具が私の生活をどれほど楽にしてくれたか、そしてメガネストラップとの5年間の付き合いについて、詳しくお話ししたいと思います。
眼鏡紛失の日々:私のうっかりエピソード
メガネストラップとの出会いを語る前に、まず私がどれほど「うっかり」な人間だったかをお伝えしなければなりません。
高校時代:プールの授業での悲劇
高校1年生の夏、体育の授業でプールがありました。当然、眼鏡は外してロッカーに置いていくのですが、授業が終わって着替えようとした時、眼鏡がありませんでした。
「確かにここに置いたはずなのに」と焦りながら探しましたが見つかりません。友達に手伝ってもらって必死に探し、結局30分後、なぜか私の靴の中から発見されました。どうやら着替える時に誤って落として、それを踏んで靴の中に入れてしまったようです。
幸い、眼鏡は無事でしたが、先生には「お前、大丈夫か?」と心配され、クラスメイトには笑われました。今思えば、あの時メガネストラップがあれば、首から下げておけたのに、と思います。
大学時代:図書館での3時間捜索
大学2年生の時、図書館で勉強していました。長時間勉強していると目が疲れてくるので、時々眼鏡を外して休憩するのが私の習慣でした。
その日も、眼鏡を外して目を閉じて休憩し、10分ほど経って勉強を再開しようとしたところ、眼鏡がありません。机の上にも下にもない。カバンの中も探しましたがない。
焦りました。眼鏡がないと、教科書の文字がまともに読めません。図書館のスタッフに事情を説明し、落とし物として届いていないか確認してもらいましたが、該当なし。
結局、友達3人に手伝ってもらって、図書館の隅から隅まで探し回りました。3時間後、別のフロアの椅子の下から私の眼鏡が発見されました。どうやら、トイレに行く時に無意識に手に持っていき、その後別のフロアで座った時に落としてしまったようです。
「もう本当に、あなたってどうしようもないわね」と友達に呆れられました。自分でも本当にそう思いました。

社会人1年目:電車内での紛失事件
就職して最初の夏、金曜日の夜、会社の飲み会がありました。お酒を飲んで、少しほろ酔い気分で電車に乗りました。
暑かったので、眼鏡を外してハンカチで汗を拭き、そのまま眠ってしまいました。気づいたら終点で、慌てて飛び起きて降りたのですが、家に帰って眼鏡がないことに気づきました。
翌日、酔いも覚めて駅に連絡しましたが、落とし物として届いていませんでした。結局、新しい眼鏡を作るはめになり、3万円の出費。その月の生活費が厳しくなりました。
「いい加減、何か対策を考えないと」と思いましたが、具体的に何をすればいいのか分かりませんでした。
コンタクトレンズという選択肢
眼鏡をよく紛失する私に、友人や家族は「コンタクトレンズにすれば?」と何度も勧めてくれました。
実際、大学時代に一度コンタクトレンズに挑戦したことがあります。眼科で処方してもらい、使い方を教わりました。でも、私はどうしてもコンタクトレンズを目に入れることに恐怖を感じてしまい、毎朝30分近くかかってしまいます。
さらに、ドライアイの傾向があり、コンタクトをつけていると目が乾燥して痛くなってしまいました。結局、1ヶ月で断念し、再び眼鏡生活に戻りました。
「私には眼鏡しかない。でも、眼鏡をよくなくす。この矛盾をどうにかしないと」と悩んでいました。
運命の出会い:100均メガネストラップとの遭遇
転機が訪れたのは、社会人3年目の秋でした。
その日、仕事帰りにダイソーに立ち寄りました。目的は文房具を買うことでしたが、ふらふらと店内を歩いていると、眼鏡関連用品のコーナーに目が留まりました。
そこには、眼鏡ケース、眼鏡拭き、曇り止め、そして眼鏡ストラップが並んでいました。
「メガネストラップ?これって何?」と思い、商品を手に取りました。細いチェーン状のもの、革紐風のもの、シリコン製のもの、ビーズで飾られたものなど、様々な種類がありました。価格はすべて110円です。
パッケージの説明を読むと、眼鏡のツルの先端に取り付けて、首から下げられるようにする道具だと書いてありました。「これがあれば、眼鏡を外した時に首から下げておけるから、紛失しないかも」と思いました。
正直、その時点では半信半疑でした。「こんな簡単なものでうっかり紛失が防げるなら、もっと早く知りたかった。でも、本当に効果があるのか?」という疑問もありました。
でも、110円なら試してみてもいいかな、という気軽な気持ちで、黒いシンプルなチェーンタイプのメガネストラップを購入しました。
初めての装着:半信半疑の第一歩
帰宅後、さっそくメガネストラップを装着してみることにしました。
パッケージを開けると、細いチェーンの両端に小さな輪っかがついています。この輪っかを眼鏡のツルの先端に通すだけ、と説明書には書いてありました。
眼鏡を外して、ツルの先端を見ると、確かに輪っかを通せそうな隙間があります。少し力を入れて引っ張りながら、輪っかをツルに通していきます。右側、左側、両方に取り付けて、完成です。
鏡の前で眼鏡をかけてみました。チェーンが後頭部を通って垂れ下がっています。「うーん、見た目はどうなんだろう」と思いましたが、黒いチェーンなので髪の毛に隠れて、それほど目立ちません。
試しに眼鏡を外してみました。すると、眼鏡がストラップでぶら下がり、胸元でゆらゆらと揺れます。「おお、これは確かに紛失しないかも」と思いました。
でも同時に、「邪魔にならないかな」「動くたびにぶらぶらして気になるのでは?」という不安もありました。
「とりあえず、週末の買い物で試してみよう」と決めました。

実際に使ってみて:最初の違和感と慣れ
土曜日、メガネストラップをつけて、近所のショッピングモールに出かけました。
最初は確かに違和感がありました。歩くたびに、外した眼鏡が胸元で揺れます。慣れていないので、その動きが気になってしまいます。
スーパーで買い物をする時、値札を見るために眼鏡を外しました(私は近視が強すぎて、近くを見る時は眼鏡を外した方が見やすいのです)。普段なら、外した眼鏡をカゴに入れたり、手に持ったりしていましたが、この日は首から下げることができました。
会計の時、眼鏡をかけ直そうとして、「あれ、どこに置いたっけ?」と一瞬焦りましたが、すぐに「あ、首から下げてるんだった」と気づきました。胸元に手を伸ばすと、そこに眼鏡がありました。
この瞬間、「これは便利かもしれない」と思いました。
その後、書店に行きました。立ち読みをしている時も、眼鏡を外して首から下げておけるので、手が自由になります。以前なら、眼鏡を持ったまま本を持つので、片手が塞がって不便でした。
カフェで休憩する時も、テーブルに眼鏡を置く必要がなく、常に首から下げておけます。「あれ、眼鏡どこだっけ?」と探すストレスがありません。
帰宅する頃には、違和感もかなり薄れていました。むしろ、「眼鏡を探す」という行為が一度もなかったことに気づき、新鮮な驚きを感じました。
その夜、鏡の前で一日の感想を考えました。「確かに最初は違和感があったけど、メリットの方が大きいかもしれない」と思いました。特に、あの「眼鏡どこだっけ?」という焦りと、探し回る時間がゼロになったことは、想像以上に快適でした。
「もう少し続けてみよう」と決めました。
日常生活での発見:メガネストラップの真価
メガネストラップをつけ始めて1週間が経ちました。この1週間で、様々な場面でその便利さを実感しました。
朝の支度がスムーズに
朝、洗顔する時、以前は眼鏡を洗面台に置いていました。でも、水が跳ねて眼鏡が濡れてしまったり、うっかり洗面台から落としてしまったりすることがありました。
メガネストラップがあれば、首から下げたまま洗顔できます(もちろん、濡れないように少し後ろに垂らしておきます)。洗顔後、すぐに眼鏡をかけ直せるので、朝の支度時間が短縮されました。
化粧をする時も便利です。アイメイクをする時は眼鏡を外しますが、首から下げておけば、すぐにかけ直して確認できます。以前は化粧台に置いていたので、他の化粧品に埋もれて「あれ、眼鏡どこ?」となることがありました。
仕事中の活躍
オフィスでも、メガネストラップは大活躍しました。
デスクワークの合間に、目を休めるために眼鏡を外すことがあります。以前は机の上に置いていましたが、書類や飲み物で机が散らかっていると、眼鏡がどこにあるか分からなくなることがありました。
メガネストラップがあれば、外した眼鏡は首から下げておくだけ。デスクが散らかっていても関係ありません。
また、会議室に移動する時も便利です。以前は、眼鏡を手に持ったまま資料を持って移動するので、片手が塞がっていました。今は首から下げておけるので、両手が自由に使えます。
同僚からは、「それ、便利そうだね」「どこで買ったの?」と聞かれることが増えました。「100均だよ」と答えると、「え、100均であるの!?」と驚かれました。
お風呂上がりの悲劇を回避
ある日の夜、いつものようにお風呂に入りました。お風呂に入る前、眼鏡を脱衣所に置いていきます(当然ですが、メガネストラップはお風呂には入れません)。
以前なら、洗濯カゴの上とか、洗面台の端とか、適当な場所に置いていました。そして、お風呂上がりに「あれ、どこに置いたっけ?」と裸眼で探し回ることがよくありました。視力0.04の私にとって、裸眼で眼鏡を探すのは至難の業です。
でも、メガネストラップがあると、脱衣所のフックにストラップごと引っ掛けておけます。お風呂から上がったら、フックを探せばいい。フックは固定されているので、場所が変わることはありません。
「なんでもっと早く気づかなかったんだろう」と思いました。こんな簡単なことで、日々のストレスが減るなんて。
外出先での安心感
週末、友人たちとカラオケに行きました。カラオケボックスの室内は薄暗く、テーブルの上には飲み物やおつまみが散乱しています。
以前、カラオケで眼鏡を紛失しかけたことがあります。歌っている時に眼鏡を外して、適当にテーブルに置いたら、他の人の荷物の下に紛れ込んでしまい、帰る時に探し回る羽目になりました。
でも今回は、メガネストラップのおかげで、眼鏡を外しても首から下げておけます。歌い終わって席に戻る時も、眼鏡がどこにあるか探す必要がありません。
友人の一人が、「それ、すごく便利そう。私もよく眼鏡なくすんだよね」と言いました。「100均で買えるよ。ダイソーとかセリアにあるよ」と教えると、「今度買ってみる!」と言っていました。

様々なデザインとの出会い:100均ストラップコレクション
メガネストラップの便利さを実感した私は、他のデザインも試してみたくなりました。
セリアの革紐風ストラップ
最初に購入したダイソーのチェーンタイプを使い続けて2ヶ月後、セリアで革紐風のメガネストラップを見つけました。
茶色の合成革紐で、カジュアルな雰囲気があります。「休日のカジュアルな服装に合いそう」と思い、購入しました。
実際に使ってみると、革紐は柔らかく、首に当たる感触がチェーンよりも優しい感じがします。ただし、チェーンよりも太いので、若干存在感があります。
でも、デニムジャケットやカーディガンを着る時には、この革紐タイプの方がファッションに馴染むことに気づきました。チェーンはややフォーマルな印象、革紐はカジュアルな印象。服装に合わせて使い分けるようになりました。
キャンドゥのビーズストラップ
ある日、キャンドゥで可愛らしいビーズのメガネストラップを見つけました。小さなガラスビーズが連なったデザインで、光を受けるとキラキラと輝きます。
「これはさすがに職場ではつけられないけど、プライベートでは可愛いかも」と思い、ピンクとブルーの2色を購入しました。
週末、友人とカフェに行く時につけていくと、「それ、すごく可愛い!どこで買ったの?」と好評でした。「100均だよ」と答えると、「え、そうなの!?もっと高そうに見える」と驚かれました。
ビーズストラップは、アクセサリー感覚でつけられるのが魅力です。眼鏡を外した時、胸元でキラキラ光るビーズがアクセントになります。
シリコン製のスポーツタイプ
スポーツジムに通い始めた時、汗をかいてもOKなメガネストラップを探していました。ダイソーで、シリコン製のスポーツタイプを発見しました。
このタイプは、眼鏡を外さずにかけたまま使うことを想定した設計で、首の後ろでしっかりとフィットします。ランニングや軽い運動をしても、眼鏡がずれにくくなります。
ジムでトレーニングする時、以前は眼鏡がずれて困っていました。特に、マシンを使ってうつむく姿勢になると、眼鏡がずり落ちてきます。でも、このスポーツタイプのストラップをつけると、眼鏡がしっかり固定されて快適です。
気づけば、私の引き出しには5種類のメガネストラップが揃っていました。全部合わせても550円。それぞれシーンに合わせて使い分けるのが、ちょっとした楽しみになっていました。
職場での反応:最初の抵抗と受け入れられるまで
メガネストラップをつけて出勤し始めた当初、実は少し気になることがありました。それは、周囲の目です。
「おばあちゃんみたい」という声
最初の1週間、同僚の何人かから、「それ、なんか老眼鏡のおばあちゃんみたい」と言われました。確かに、メガネストラップというと、老眼鏡をかけたご年配の方がつけているイメージがあるのかもしれません。
その言葉を聞いた時、少しショックでした。「やっぱり見た目が良くないのかな」「若い人がつけるものじゃないのかな」と悩みました。
でも、同時に思いました。「便利さを取るか、見た目を取るか」と。
私は、これまで何度も眼鏡を紛失してきました。探し回るストレス、紛失する不安、そして実際に買い直す費用。それらを考えると、多少「おばあちゃんみたい」と言われても、メガネストラップを使い続けることの方が重要だと思いました。

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