2019年4月、私(当時高校2年生、17歳)は新学期の部活動選択で大きな迷いを抱えていました。中学時代はバスケットボール部に所属していましたが、高校では文化部に挑戦してみたいという気持ちがありました。しかし、文化部といっても選択肢は多く、自分に何が向いているのか分からずにいました。そんな時、演劇部の新入部員募集のポスターが目に留まりました。「未経験者歓迎!一緒に舞台を作り上げませんか?」というキャッチフレーズに心を引かれ、とりあえず見学に行くことにしました。
演劇部の部室を訪れると、部員たちが熱心に台本を読み合わせしている姿がありました。しかし、私を最も驚かせたのは、部員の一人が着用していた金髪のかつらでした。後で聞いたところ、それは100円ショップのセリアで購入した580円のウィッグだったのですが、舞台上では本格的な衣装にしか見えませんでした。「100円ショップのかつらでも、こんなに本格的な演劇ができるのか」という驚きと、「お金をかけなくても創造的な活動ができる」という発見が、私の演劇部入部を決定づけました。

その後の3年間、私は100円ショップのかつらと共に、数々の舞台に立ち、キャラクター作りを学び、仲間との絆を深め、そして何より「表現することの楽しさ」を心から実感することになりました。高校生活の中で最も充実した時間を与えてくれたのは、間違いなく演劇部での経験でしたが、その全ての始まりは、たった580円のかつらとの出会いでした。
卒業から2年が経った今でも、当時使っていたかつらは大切に保管してあり、時々眺めては高校時代の思い出に浸っています。100円ショップという身近な場所で購入できる小道具が、人生を大きく変える可能性があることを、身をもって体験した貴重な経験でした。
580円という手頃な価格で、これほど多くの学びと経験を得られることに、改めて驚きを感じました。100円ショップが単なる日用品の購入場所ではなく、「夢や表現を支える場所」にもなり得ることを、身をもって体験することができました。
初舞台への挑戦と100円ショップアイテムの活用
2019年5月18日、高校生活で初めての舞台公演の日を迎えました。演劇部に入部してから約1ヶ月という短期間でしたが、毎日の練習を通じて台詞を覚え、演技の基礎を学び、何より「舞台に立つ緊張感」を味わう準備ができていました。
公演の演目は「青春スケッチ」というオリジナル脚本で、現代の高校生の日常を描いた群像劇でした。私が演じるのは「明るく元気な女子高生・美咲」という役で、クラスのムードメーカー的な存在でした。この役には、セリアで購入した明るい茶色のセミロングのかつらを使用することになっていました。
公演の1週間前から、舞台準備が本格化しました。驚いたのは、かつら以外にも多くの小道具や衣装パーツが100円ショップで調達されていることでした。演劇部の備品倉庫を整理していた際に、先輩の吉田さん(仮名、3年生)が教えてくれました。
「うちの演劇部は『100円ショップ活用部』って呼ばれることもあるんです」と吉田さんは笑いながら説明してくれました。「限られた部活予算の中で、いかに本格的な舞台を作るかが、ここ数年の課題でした。そこで注目したのが100円ショップの活用だったんです」


実際に倉庫を見渡すと、確かに多くのアイテムが100円ショップで購入されたものでした:
小道具類:
- 携帯電話(ダミー用):ダイソーで110円
- 本や雑誌:セリアで各110円
- 文房具類:各店舗で110円
- 造花や装飾品:キャンドゥで110円~220円
- 小物入れやカバン:各店舗で220円~330円
衣装関連:
- アクセサリー各種:ダイソーで110円~220円
- スカーフやストール:セリアで110円~330円
- 帽子類:各店舗で220円~550円
- ベルトや靴下:各店舗で110円~220円
メイク・特殊効果用品:
- カラーリング用チョーク:ダイソーで110円
- つけまつげ:セリアで110円
- ボディペイント用クレヨン:キャンドゥで220円
- 傷跡シール:ダイソーで110円
「これだけの道具を専門店で購入したら、軽く10万円は超えるでしょうね」と吉田さんが計算してくれました。「でも、100円ショップを活用することで、総額で2万円程度に抑えることができているんです」
私が担当する美咲役では、かつら以外にも100円ショップのアイテムを多く使用することになりました。制服風の衣装に合わせるアクセサリー(ピアス、ブレスレット、髪飾り)、手に持つ小道具(携帯電話、ノート、ペン)、そして舞台メイク用のアイテムなど、すべて100円ショップで調達されたものでした。
公演3日前、初めて「フル装備」での通し練習が行われました。かつらをかぶり、100円ショップのアクセサリーを身につけ、小道具を持って舞台に立った瞬間、「本当に美咲になった」という実感が湧いてきました。
特に印象的だったのは、ダイソーで購入した110円のブレスレットでした。シンプルなシルバーのチェーンブレスレットでしたが、舞台上のライトを浴びると美しく輝き、まるで高級アクセサリーのように見えました。「照明の効果で、100円のアクセサリーでもこんなに上品に見えるのか」と驚きました。
通し練習では、他の部員たちの変身ぶりにも目を奪われました。田村君は、セリアで購入したシルバーグレーのかつらをかぶり、ダイソーの老眼鏡(レンズなし)をかけて、60代の教師役を演じていました。17歳の高校生が、わずか1000円程度のアイテムで60代の男性に変身する様子は、まさに「演劇の魔法」でした。
1年生の小林さんは、キャンドゥで購入した赤いロングヘアのかつらと、同じく100円ショップの派手なアクセサリーで、「不良少女役」を演じていました。普段は非常におとなしい性格の小林さんが、かつらとアクセサリーの力で全く違うキャラクターになりきっている姿に、100円ショップアイテムの「変身効果」を改めて実感しました。
公演前日、最終リハーサルが行われました。この日は実際の舞台照明を使用しての練習で、100円ショップアイテムがどのように見えるかを確認する重要な機会でした。
結果は想像以上でした。かつらは舞台照明の下では完全に自然な髪に見え、アクセサリーは適度な輝きを放ち、小道具も本物と見分けがつかないレベルでした。客席から見学していた顧問の田中先生(仮名)からも、「100円ショップの活用とは思えないクオリティです」という評価をいただきました。
ただし、100円ショップアイテムの使用には注意点もありました。先輩方から教わったポイント:
かつらの注意点:
- 激しい動きでずれないよう、ピンでしっかり固定
- 汗をかいても崩れないよう、事前にヘアスプレーで固める
- 他の出演者との接触で絡まないよう、毛先の処理に注意
アクセサリーの注意点:
- 舞台上で外れないよう、接着剤で補強
- 金属アレルギーの可能性があるため、事前にパッチテスト
- 照明で反射しすぎないよう、必要に応じて艶消しスプレーを使用
小道具の注意点:
- 壊れやすいものは予備を用意
- 音が出るものは、他の出演者の邪魔にならないよう音量調整
- 舞台上で落とした際の対処方法を事前に決めておく
公演当日の朝、最後の準備をしながら、この1ヶ月間を振り返りました。100円ショップのかつらとの出会いから始まった演劇部生活は、想像をはるかに超える学びと体験をもたらしてくれました。
単に「安い道具」としてではなく、「表現の可能性を広げるツール」として100円ショップアイテムを活用することの素晴らしさを、身をもって理解することができました。また、限られた予算の中でも創意工夫次第で素晴らしい舞台が作れることを学び、「お金をかければ良いものができる」という先入観が覆されました。
午後2時、いよいよ開演時間が近づいてきました。楽屋(実際は空き教室)で、セリアで購入した茶色のかつらをかぶり、ダイソーのアクセサリーを身につけ、最終的な身だしなみを整えました。
鏡に映る自分は、もはや普段の私ではありませんでした。明るい茶色の髪、キラキラと光るブレスレット、手に持った携帯電話。完全に「美咲」という別の人格になりきっていました。
「これが演劇の魅力なんだな」と実感しながら、舞台袖で出番を待ちました。観客席からは家族や友人たちの話し声が聞こえ、緊張感が高まってきました。
開演のブザーが鳴り、いよいよ私の高校演劇デビューの時が来ました。100円ショップのかつらと共に、新しい世界への第一歩を踏み出す瞬間でした。
舞台上に立った瞬間、観客席の暗闇の向こうに多くの人の視線を感じました。しかし、不思議なことに、極度の緊張は感じませんでした。むしろ、「美咲として生きる」ことに集中でき、台詞も自然に口から出てきました。
第1場面の台詞:「おはよう、みんな!今日も良い天気だね。こんな日は何か良いことがありそうな予感がするよ!」
この台詞を言いながら舞台中央に歩いてくるシーンでしたが、茶色のかつらがふわりと揺れる感覚と、ダイソーのブレスレットがキラキラと光る様子が、美咲というキャラクターの「明るさ」を視覚的に演出してくれました。
約40分間の公演は、あっという間に過ぎました。最後のカーテンコールで観客席から温かい拍手をいただいた時、「やり遂げた」という達成感と、「もっと演劇を続けたい」という強い意欲が湧いてきました。
公演後、観客として来てくれた家族や友人からの感想は、予想以上に好評でした。
部活選択の迷いと演劇部との初対面
2019年3月下旬、高校1年生から2年生に進級するタイミングで、私は部活動の継続について真剣に悩んでいました。中学時代の3年間はバスケットボール部に所属し、毎日汗を流していました。スポーツは好きでしたし、体を動かすことにも充実感を感じていましたが、高校生活では何か違うことにも挑戦してみたいという気持ちが強くなっていました。
私の通っていた県立高校は、文武両道を重んじる校風で、部活動の種類も豊富でした。運動部だけでなく、文化部も非常に活発に活動しており、全国大会に出場する部も少なくありませんでした。そのため、1年生の終わりになると、多くの学生が「このまま同じ部活を続けるか、新しいことに挑戦するか」という選択を迫られることになります。
私の友人たちの中にも、部活動の変更を検討している人が何人かいました。同じクラスの田中君(仮名)は軽音楽部への転部を、山田さん(仮名)は写真部への新規入部を考えていました。彼らの話を聞いているうちに、「高校生活はあと2年しかない。この機会に、今まで経験したことのない分野にチャレンジしてみるのも良いかもしれない」と思うようになりました。
4月の第1週、新学期が始まると同時に、各部活動の新入部員募集が本格化しました。廊下や階段の壁には、色とりどりの勧誘ポスターが貼られ、昼休みには各部の代表者が教室を回って部活動の紹介をしていました。
最初に興味を持ったのは、美術部でした。絵を描くことは昔から好きでしたし、静かな環境でじっくりと作品制作に取り組むのも良いかもしれないと思いました。美術室を見学に行くと、油絵や水彩画、デッサンなど、レベルの高い作品がたくさん展示されていました。しかし、部員の皆さんは非常に真剣で、私のような初心者が気軽に参加できるような雰囲気ではありませんでした。

次に検討したのは、文芸部でした。読書は好きでしたし、時々短い文章を書くこともありました。しかし、部員数が少なく、活動内容も個人作業が中心で、「仲間と一緒に何かを作り上げる」という体験は期待できそうにありませんでした。
そんな中、4月10日の放課後、校舎の2階を歩いていた時に目に留まったのが、演劇部の勧誘ポスターでした。色鮮やかな背景に、コメディとシリアス両方の演目の写真が掲載されており、「未経験者歓迎!一緒に舞台を作り上げませんか?」「表現する喜びを体験しよう!」というキャッチフレーズが印象的でした。
演劇については、正直なところほとんど知識がありませんでした。小学校の学芸会や中学校の文化祭での発表程度の経験しかなく、本格的な演劇を観たこともありませんでした。しかし、ポスターの写真を見ていると、部員たちの表情が非常に生き生きとしており、「楽しそうだな」という印象を受けました。
「とりあえず見学だけでもしてみよう」と思い、その日の放課後、演劇部の部室を訪れることにしました。部室は校舎の3階にある音楽室の隣で、比較的広いスペースでした。扉をノックして入室すると、6人の部員が円になって台本を読み合わせしている最中でした。
「すみません、見学させていただきたいのですが…」と声をかけると、部長の佐々木先輩(仮名、当時3年生)が笑顔で迎えてくれました。「もちろんです!今、来月の定期公演の練習をしているところなんです。よろしければ、そのまま見ていてください」
台本読みの様子を見学していると、部員の一人が突然立ち上がり、隣の部屋から何かを取ってきました。それが、私と100円ショップのかつらとの最初の出会いでした。
その部員(後に親友となる鈴木さん、仮名)は、金髪のロングヘアのかつらを頭にかぶり、一瞬で別人のような雰囲気になりました。彼女が演じていたのは、高慢な貴族の令嬢役で、かつらをつけた途端、普段のおとなしい印象とは全く違う、堂々とした演技を見せてくれました。
「これ、実は100円ショップで買ったんです」と鈴木さんは練習の合間に教えてくれました。「セリアで580円でした。最初は『安すぎて大丈夫かな』と心配だったんですが、舞台用のライトを当てると、意外と本格的に見えるんですよ」
実際に、間近で見てもかつらのクオリティは想像以上に高く、髪質も自然で、色合いも美しいものでした。「100円ショップでこのレベルのものが買えるのか」という驚きと同時に、「お金をかけなくても、創意工夫次第で本格的な演劇ができる」という発見がありました。
その日の見学を通じて、演劇部の魅力を強く感じることができました。部員同士の仲の良さ、真剣に取り組む姿勢、そして何より「表現することを楽しんでいる」雰囲気が印象的でした。台本読みが終わった後、部員の皆さんが自然と感想を話し合い、演技の改善点について議論している様子を見て、「この部活なら、充実した高校生活を送れそう」と直感しました。
家に帰った後、両親に演劇部への入部を検討していることを相談しました。「演劇なんて、将来役に立つの?」という母の心配もありましたが、「表現力やコミュニケーション能力は、どんな職業でも必要なスキルだし、何より楽しそう」ということで、最終的には応援してもらえることになりました。
翌日、再び演劇部を訪れ、正式に入部の意志を伝えました。佐々木部長は非常に喜んでくれ、「一緒に素晴らしい舞台を作りましょう!」と言ってくれました。その時に、鈴木さんから「今度一緒に100円ショップに行って、君に似合うかつらを探しましょう」と提案されました。
まだ自分がどんな役を演じることになるかも分からない状況でしたが、「100円ショップのかつら探し」という具体的な活動を通じて、演劇部の一員としての実感が湧いてきました。こうして、私の演劇部生活が始まることになりました。
初めてのセリア訪問とかつら選びの体験
2019年4月13日の土曜日、演劇部に入部してから最初の週末に、鈴木さんと一緒に近くのセリアを訪れることになりました。演劇部の新入部員として最初にするべきことは「自分に合うかつらを見つけること」だと鈴木さんに教えられ、期待と緊張を抱えながら店に向かいました。
セリアの店舗は、JR駅から徒歩5分ほどの商業施設内にありました。土曜日の午後ということもあり、店内は多くの買い物客で賑わっていました。「かつらってどこに置いてあるんだろう」と思いながら鈴木さんについて歩いていると、コスプレ用品やパーティーグッズが陳列されているコーナーに案内されました。
「ここです!」と鈴木さんが指差した棚には、想像以上に多種多様なかつらが並んでいました。ロングヘア、ショートヘア、カールヘア、ストレートヘアなど、スタイルのバリエーションも豊富でしたし、色も黒、茶、金、赤、青、ピンクなど、10色以上ありました。
価格を確認すると、確かに580円(税込)で統一されていました。同じような商品が専門店で購入すると数千円はするはずですが、100円ショップの価格設定には改めて驚かされました。
「最初は、どんな色がいいと思う?」と鈴木さんに相談すると、「演劇では様々な役を演じることになるから、自分の髪色とは全然違う色を選ぶのがおすすめ」とアドバイスしてくれました。私の地毛は黒に近い濃い茶色だったので、金髪や茶髪のかつらが候補に上がりました。
最初に手に取ったのは、鈴木さんが持っているものと同じ金髪のロングヘアでした。パッケージから取り出して実際に触ってみると、髪質は思っていたよりもしっとりとしており、人工的な感じはそれほどありませんでした。鈴木さんに「試着してみたら?」と勧められ、少し恥ずかしながらも頭にかぶってみました。
セリアの化粧品コーナーに小さな鏡があったので、そこで自分の姿を確認してみました。金髪の自分を見るのは人生で初めてでしたが、予想以上に違和感がなく、むしろ「新しい自分を発見した」ような感覚がありました。
「すごく似合ってる!」と鈴木さんが興奮気味に言ってくれました。「でも、せっかくだから他の色も試してみましょう」ということで、次は明るい茶色のセミロングを試着してみました。
茶髪のかつらは、金髪よりも自然な印象で、普段の私により近い雰囲気でした。「これだと、現代劇の普通の高校生役とかに使えそう」と鈴木さんが解説してくれました。
3つ目に試したのは、赤毛のカールヘアでした。これは正直なところ、かなり個性的で、最初は「こんな派手な色、私に似合うだろうか」と不安でした。しかし、実際にかぶってみると、意外にも顔色が明るく見え、「元気で活発なキャラクター」を演じる際には効果的だと感じました。
30分ほどかけて10種類以上のかつらを試着した結果、最終的に3つのかつらを購入することにしました:
- 金髪ロングヘア(貴族や西洋の登場人物用)
- 明るい茶色のセミロング(現代劇の一般的な役用)
- 黒髪のショートボブ(男装や大人しいキャラクター用)
合計1,740円という価格で、3つの異なる「キャラクター」を手に入れることができました。
買い物を終えて店を出ると、鈴木さんが「実は、演劇部では『かつら選び』が一つの通過儀礼みたいになっているんです」と教えてくれました。「新入部員の皆さんには、必ずセリアでかつらを購入してもらっています。安くて品質が良いし、何より『役作りの第一歩』として最適なんです」
家に帰って購入したかつらをじっくりと観察してみました。パッケージには「ポリエステル100%」「耐熱温度80度」「洗濯不可」などの注意書きがありました。また、「コスプレ・仮装・パーティー用」という用途も明記されており、演劇での使用も想定されていることが分かりました。
鏡の前で再度試着してみると、家の照明の下でも十分に自然に見えました。特に金髪のかつらは、夕方の部屋の明かりの中では、まるで本物の髪のような質感でした。
その夜、家族にかつらを見せると、皆驚いていました。「580円でこのクオリティなの?」と母が感心し、「昔のかつらと比べて、本当に自然になったね」と祖母も評価してくれました。
弟(当時中学1年生)は最初驚いていましたが、「姉ちゃん、金髪似合ってる!今度学園祭で使うの?」と興味深そうに聞いてきました。演劇部の活動について説明すると、「僕も見に行きたい」と言ってくれ、家族の応援があることを実感しました。
日曜日、購入したかつらの手入れ方法について調べてみました。インターネットで検索すると、「100円ショップのかつらでも、適切にケアすれば長期間使用可能」という情報を見つけました。
基本的なケア方法:
- 使用後はブラシで軽くとかす
- 湿気の少ない場所で保管
- 直射日光を避ける
- 無理に引っ張らない
- 静電気を防ぐためにウィッグ専用スプレーを使用(これもダイソーで購入可能)
月曜日、学校で鈴木さんに購入したかつらを見せると、「良い選択ですね!特に黒髪のボブは、来月の公演で使えるかもしれません」と言ってもらえました。
その日の演劇部の活動では、新入部員の「かつら披露」が行われました。同じ時期に入部した3人の新入部員(私を含む)が、それぞれ購入したかつらを紹介し合いました。
同級生の田村君(仮名)は、シルバーグレーのウェーブヘアと黒髪のストレートロングを購入していました。「年配の役と若い女性の役、両方に対応できるように選びました」という説明に、先輩方から拍手が起こりました。
もう一人の新入部員、1年生の小林さん(仮名)は、明るい茶色のツインテールと深い赤色のロングヘアを選んでいました。「活発なキャラクターが演じたくて」という理由で、その積極性に皆感心していました。
佐々木部長からは、「皆さん、とても良い選択をしましたね。かつらは単なる道具ではなく、キャラクターになりきるための重要なツールです。これから様々な役を演じる中で、きっと重宝することでしょう」という評価をいただきました。
この日を境に、私の本格的な演劇部生活が始まりました。毎日の放課後練習では、台本読みから始まり、発声練習、身体表現の基礎、そして役作りの方法などを学んでいきました。
4月下旬、初めて「役」をもらうことになりました。5月に開催される定期公演で、私は「現代の女子高生役」を演じることになったのです。鈴木さんからは、「明るい茶色のセミロングがぴったりですね」とアドバイスされ、自分で選んだかつらが実際の舞台で使われることになって、非常に嬉しく思いました。
初めての役作りでは、かつらをかぶることで「キャラクターになりきる感覚」を体験することができました。普段の自分とは違う髪型・髪色になることで、自然と姿勢や話し方、表情まで変わることに驚きました。
「かつらの力ってすごいな」と実感したのは、ある日の練習中のことでした。台本を読んでいる時は普通に読めていたセリフが、かつらをかぶった途端、より感情を込めて言えるようになったのです。まるで、かつらが私に「その役になりなさい」と語りかけているような感覚でした。
先輩方からは、「かつらを使いこなせるようになると、演技の幅が大きく広がる」と教えられました。実際、部の倉庫には過去に購入したかつらが数十個保管されており、どれも大切に手入れされていました。「代々の部員が使ってきた歴史があるんですね」と感慨深く思いました。
こうして、100円ショップのかつらとの出会いから始まった私の演劇部生活は、想像以上に充実したものになっていきました。セリアでの買い物体験は、単にかつらを購入しただけではなく、「新しい自分を発見する機会」「役作りの基礎を学ぶ体験」「部員との絆を深めるきっかけ」という、多くの意味を持つものでした。

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